草食男子は本性を隠していました。

 ……っ、これ、本当に現実なの……?

「……み、水樹君、これって現実だよね……?」

 信じられなくてそう聞くと、水樹君は不敵に口角を上げた。

「信じられないんなら、試してみる?」

「た、試すって、何を……んっ。」

 私の言葉を遮るように、水樹君が私の唇に自分のものを重ねてくる。

 それはこの前とは違って、何回も何回も、重ねる度に深くなっていくものだった。

 角度を変えては口づけを繰り返してくる水樹君に、私はすでに満身創痍状態。

 息が続かない……っ、と思った時急に唇が離れた。

 良かった、これ以上は無理っ……と思っていたから、ほっと胸を撫で下ろす。

 だけれど、それは束の間だった。

 唇を離した直後、また重ねてきた水樹君。

 でもさっきのとは全く違うキスだった。

 自分の口内に生温かい何かが入ってきて、私の舌と絡ませる。

 それが水樹君の舌だってことに気付くのは遅かったけど、顔が真っ赤になるのは早かった。

 ……ほ、ほんとにもう、ダメっ……。

 そう思った時、唇が解放され息ができるようになった。