草食男子は本性を隠していました。

 私は、水樹君が好き。水樹君しか、好きになれない。

 ……って、何でこんな恥ずかしいこと思ってるんだろう。

 もう恥ずかしさでどうにかなりそうだった時、耳を疑ってしまうようなことが聞こえた。

「そういえばこの前も俺、姫奈のこと押し倒して……キスしたよね。」

「な、何で覚えてるの……?」

 曖昧だって、言ってなかったっけ……?

 私の言葉に水樹君はふっと意地悪な笑みを零した。

「曖昧だって言ったけど、忘れただなんて言ってないよ?」

「そ、そんなの、意地悪だっ……!」

 まさか覚えてただなんて、思わないじゃん……。

「ふふっ、意地悪でも何でもいいよ。」

 当の本人はこんなに微笑んでるし……もうキャパオーバーだよっ……!

「じゃあ姫奈、今日からよろしくね。」

「よ、よろしくって……?」

 いきなり話題を強引に変えてきた水樹君に瞬きを繰り返す。

 な、何のこと……?

 そう思って尋ねると、水樹君は私の額にキスを落としてから教えてくれた。

「もう姫奈は、俺のだってこと。」