草食男子は本性を隠していました。

 そう思いぎゅっと唇を引き結ぶ。

 その時、水樹君のすがるような声が私の耳に届いた。

「ねぇ……教えて?」

 絞り出したような声色に思わず息を呑む。

 だけど……これだけはどうしても……。

 言えない、そう言おうとした瞬間、驚くべき言葉が聞こえてきた。

「俺はこんなにも、姫奈のことが好きなのに……っ。」

 …………え?今、水樹君何て、言ったの……?

「水樹君……今……。」

 驚いて名前を呼ぶと、水樹君ははっとしたような表情になって慌てて視線を逸らした。

「今のって、どういうこと……?」

 好きって、言ったよね……?

 そんなことあるわけない、と思い込み私は水樹君に疑問を投げる。

 そんなことない、を確信に変えるために聞いた。

 だけど、返って来たものは信じたがたい言葉だった。

「俺は……姫奈のことが好き。」

「え……?」

 やっぱり、好きって……。

 その瞬間顔に熱が集中し、真っ赤に染まる。

 いやいや、絶対そんなわけない。きっとこの好きは友達のもので……。