草食男子は本性を隠していました。

 か、可愛いことって……ただ引き留めただけなのにっ……。

「水樹君、授業は……」

「別に今日くらい休んでも何も言われないから、全然大丈夫。」

 そ、それはそれでいいのかなっ……?

 でも引き留めたのは私だし、そんなこと言う筋合いはないと思う。

 そんなことを考えていたら、水樹君の悲しそうな声色が聞こえてきた。

「姫奈、沢本に告白されたの?」

 え、何でそれを水樹君が知って……。

 正直、水樹君には告白されたことを知られたくなかった。

 好きな人にそんなことは……知られたくなかった。

 目を逸らそうとしたけれど、水樹君の真剣な眼差しのせいで逸らすことができない。

「姫奈、答えて。」

「……っ!?……さ、され、た……。」

 強い口調でそう言われ、私は肩を揺らしながらも答える。

 その瞬間、私の腕を掴む力が強くなった気がした。

「で、なんて答えたの?」

 そんな私のことはお構いなしに水樹君は次の疑問をぶつけてくる。

 これを言ったら自然と、水樹君のことが好きってことも言わなくちゃならなくなる。