草食男子は本性を隠していました。

 処置が一通り終わったのか、そう言いながら立ち上がった水樹君。

「咲間さん、俺は授業戻りますけどここにいてくださいね。すぐに先生呼んできますから。」

 私にそう告げて、カーテンを閉めて行ってしまう水樹君を見て、私は思わず手を伸ばしていた。

「さ、咲間さん……?」

 ぎゅっと水樹君の服を掴み、懇願するように私は言った。

「水樹君……ここに、いて?」

 震える声でゆっくりとそう言ってから我に返る。

 わ、私何で引き留めてっ……。水樹君は授業があるのにっ……。

「み、水樹君ごめんね。なんでもな――」

「……はぁ、何でそんな可愛いこと言うかな。」

 そのまま水樹君は私に近づき、あの日と同じようにベッドに私を押し倒す。

 ……っ、これ、この前と同じだっ……。

 いつの間にか敬語も外れているし、完全にデジャヴ。

 でも目の前の水樹君はそんな私の気なんて知らず、愛おしいものを見つめるようなうっとりした表情で私を見ている。

「せっかく我慢してたのに、姫奈が可愛いこと言うせいで我慢できなくなっちゃったじゃん。」