……いや、火花なんて可愛いものじゃないのかもしれない。

 でもどちらも本気になっているってことだけは分かった。

「まぁいいか。咲間さんから面白いことも知れたし。」

「……何を知ったんですか。」

 姫奈から何を知ったの?

 そう言う瞳で沢本を睨む。

 俺の知らないところで、何を知ったわけ?

「教えるわけないじゃん。まぁせいぜい俺に取られないように善処するんだな、水樹。」

 結局沢本はそんな言葉だけを残し、手をひらひらさせながら教室のほうへと戻っていった。

 どういうこと?姫奈から何を知ったの?

 そんな疑問がこみ上げてくるけど、今の俺には正直どうでもよかった。

 とりあえずは……。

「沢本と姫奈を近づけさせないようにするのが、一番だよね。」

 俺の姫奈には絶対手出しさせない。

 再び心に誓い、俺も教室へと足を向けた。



 あの沢本の言葉はやっぱり本気で、宣戦布告された日から姫奈に思いっきりアピールをしている。

 さりげない手伝いや会話、そんなことを沢本は自分からしている。