わ、話題の変え方が上手だっ……!

 そんなことを思いながら、私は一つ息を吐いてから口を動かした。

「もちろん、断ったよ。私は……水樹君が好き、なんだから。」

 これだけは絶対に揺るがない。

 例え水樹君がどう思ってても、私はきっと水樹君しか想わない。

 私の言葉を聞いた日葵が不敵に口角を上げている。

「やっぱりそういうと思ってたよ、姫奈のことだからね。その気持ちは大事だよ、姫奈。」

「……日葵って、とことん恋愛のことになると口達者になるよね。」

 だけど……こういう時に頼れるから、案外悪くないかもって思っちゃってもいる。

 絶対、日葵には言わないけど。

「ふふっ、当たり前でしょ!私は恋愛が大好物なんだから!」

 その時辺りにお昼休憩の終わりを告げるチャイムが響いた。

 あっ、もう戻らなきゃ……!

「日葵、帰ろっ!」

 次の授業に遅れたくない私は急いで日葵の腕を引っ張って連れて行った。

「それに私は、勘違いとかすれ違い、誤解……後、盗み聞きも大好きなんだよね。」

 急いで足を速めていた私には、そんな日葵の呟きなんて聞こえなかった。