きっと私は、沢本君が何をしたって君に振り向くことはないと思う。

 だから本当に……ごめんなさい。

 私は心の中で謝り、足早にその場を離れた。



「へぇ~、やっぱり告白だったんだ~。」

「へぇ~……って、日葵は知ってたんじゃないの?」

 あの告白の後、早々に日葵に呼び出され非常階段の影で話をしている。

 この反応、日葵は何も知らなさそうな感じだけど……。

「え?もちろん知ってたよ?知ってたから姫奈が水樹君のこと好きだって教えたのに。」

「何でわざわざ教えるの……。」

 日葵が教えなかったら、多分だけど沢本君が変に傷つくことなんてなかったはずなのに……。

 私の素朴な問いに、日葵はきょとんとした顔で平然とこう言った。

「だってそっちのほうが面白そうでしょ?三角関係大好きなの!私は!」

 え、えぇ……そんな理由で……?

 日葵が重度の恋愛大好きっ子なのは知ってたけど、ここまで進化してるとは思わなかった。

「でもまさか、本当に告白しちゃうとはね~。正直しないと思ってた。」