私の名前は咲間姫奈(さくまひな)。高校一年生。

「水樹、凄い熱なんだけど!」

 授業中、突然そんな声が上がり保健委員の私は急いで水樹彼方(みずきかなた)君に近寄った。

 顔が紅潮していて、息苦しそうに肩を上下させている水樹君。

 その額に手を当てると、物凄い熱が伝わってきた。

 わっ、凄い熱だ……。

 発熱だからきついよね、と思いながら私は水樹君を担いで運んだ。

 都合が悪いことに男子の保健委員は今日休んでいる。

 だから私が何とかしないとっ……!

「先生、水樹君保健室に連れて行きますね!」

 大声で言い、私は許可を取ってから水樹君を保健室まで連れて行った。

 男の子だからそれなりに重たかったけど、何とか歩けている水樹君を支えながら保健室まで歩いく。

「咲間さん、ごめん、なさい……はぁ……。」

 息苦しそうに言う彼に、私は急いで首を横に振った。

「ううん!これが私の仕事だし、全然大丈夫だよっ!」

 みんなの役に立ちたいと思って保健委員になったんだから、役に立てて光栄だと思っている。

 まぁ、水樹君はどう思ってるか分からないんだけど……。

 私はそんなことを脳内に駆け巡らせながら、やっとのことで保健室にたどり着くことができた。