Rain shadow─偽りのレヴェル─





『寂しくないよ、私は。ここからあなたを見ていられるから』


『…俺は、お前がいるこっちの世界にいたいよ、』


『だめ。向こうには爽雨くんを待ってる仲間がいっぱいいるでしょ?』


『……、』



みんな、みんな待ってくれてるのか。

俺を、俺なんかを、待ってくれてるのか。



『…俺は、許されないくらいひどいことをした、』


『大丈夫だよ。だって、みんな爽雨くんのことが大好きだもんっ』



それなら次、こうして翠加の元に来るときは。

向こうの世界を飽き飽きするくらい満喫して、あとはお前とゆっくりするためだけに会いにくるよ。



『爽雨くん…、あのときの言葉……もういっかい聞きたい、』


『…あの、とき、』



翠加がなんの言葉を求めているのか、俺は涙を拭ったあとに理解した。


最後、ほんの少しだけ引き留めるように袖を掴んでくる。

だから俺はその手をゆっくり拾って指を絡ませるように握った。


甘く優しい唇を合わせて、愛しくてたまらない女の子をまっすぐ見つめて。




『─────…誰よりも、心から愛してるよ。…翠加』




伝わっていたんだ。
ちゃんと聞こえていた。

そして今は、そのとき求めていた反応すべてが俺の腕のなかにあった。




『瀧をよろしくねっ!!いってらっしゃい、────…爽雨。』




いつか、“ただいま”を言える、そのときまで───…。