その指が指し示すのは、まだ悲しみも苦しみも残る世界だった。
これから何があるか予想もできなくて、笑顔だけでは過ごせない世界。
『爽雨くんは、向こうで笑って泣いて、たまに私のことを思い出して、
それで……もっともっと強くて格好いい男の子になるの!』
『……一緒にいこう、翠加』
もう離れたくないんだよ。
お前と離れたくないんだ俺は。
向こうの世界に一緒に行けばいい。
そこで一緒に笑って泣いて、俺たちと楽しく過ごすんだ。
『私ね、ここの場所すごく好きなんだ。あっちにはこの川よりきれいな湖があって、
そのもっと奥にはお花畑!近くに涼しい森林もあるのっ』
『…そこに、いたいの?』
『うん。…そこで爽雨くんをずっと待ってる』
『っ…、』
つよくつよく引き寄せていた。
本当に幸せそうに笑ってくれてしまうから、俺はこの子にはぜったい敵わない。
『っ、翠加、…すいか、』
『もう、爽雨くんは瀧より泣き虫なんだから!』
だってそんなの寂しいだろ。
どうして俺はお前をここにひとり置いて行かなくちゃならないんだ。
ここは朝にも夜にも、恐怖にも、不安にも、ぜんぶに縛られない場所だ。
そんな場所に大好きな女の子といられるなら、俺はそれでいいのに。



