Rain shadow─偽りのレヴェル─





いつも元気な女の子だった。

笑顔を絶やさなくて、そんな翠加だから赤矢だって佐狐だって懐いたんだ。


みんなを笑顔にしてきた女の子が初めて流す、俺しか見たことがないもの。



『まだまだいっぱい、いっぱいっ、したいことがあったの……っ、爽雨くんとデートもしてみたかったっ、』



優しいキスを落とした。

精いっぱい応えてくれる翠加に、何度も何度も繰り返す。



『ん…っ、それで、私ね、いつか……、温かい家族を作るのが夢だった…っ』



わかってる。
おまえ、子供好きだったもんな。

たまに電車内で泣いている赤ちゃんがいたら、渾身の変顔を見せて泣き止ませるくらい。



『……俺と、家族になってくれる?』


『…え……?』



芝生のなかに咲いた枯れないシロツメクサをそっと拾った。

小さな輪っかを作って、翠加の左手薬指に通す。


お願いだ神様。

幸せを、この子に幸せを与えてあげてほしい。

この世界だとしてもいい。
夢だとしても、なんでもいいから。



『……ありがとう爽雨くん。私、すっごく幸せ…、』



指輪を空にかざして、笑った翠加。

それを聞いた俺は、幸せで幸せで仕方なくて、また止めどない涙を流す。