Rain shadow─偽りのレヴェル─





翠加らしいと思った。


首に腕を回してきたと思ったら、真っ赤な顔をしつつも勢い任せに合わせて。

ちゅっと音を出して離れると、照れ隠しにベーッと舌を出すいじわるな顔。



『……もう1回、』


『やだっ、恥ずかしいんだからっ』


『…じゃあ俺がする、』


『ん…っ!』



音が弾けるキスも、反応が返ってくるキスも、俺の動きに応えてくれるぎこちなさだって。

あのとき初めて交わしたものは悲しくて、つめたくて、強がりでも幸せとは言えなくて。



『んっ、…ん、……爽雨くん、』


『……好きだ、翠加』


『っ、…私もだいすき…っ』



こんなに幸せであたたかいなんて。

ふたりして涙が止まらなかった。
やっと、やっと気持ちを伝えられた。


一生分のキスを、何度も何度も交わした。


たとえここが幻のような世界だとしても、俺はそれでもいい。



『……すいか、』


『へへ、あれえ…っ、おかしいな、っ、』



それは嬉しさに混じる、悲しみもある涙だった。

悲しみだけじゃない。
悔しさと、後悔と、切なくて儚いもの。



『翠加、お前がずっと抱えてた気持ち…ぜんぶ言っていい。俺が受け止めるから、』


『っ…、もっと、一緒にいたかった……っ、』