Rain shadow─偽りのレヴェル─





マフラーがきつく巻かれた左腕はなんとか止血できたみたいだが、腕全体から首にかけて青紫色の斑点のように広がる模様。


だけどまだ息はある。


息はあるがかなり苦しそうな呼吸を繰り返し、汗が出るほど熱を持っている身体。

それはまるで時間の問題だとも言われているみたいだった。



「…ふざけんな…、これじゃお前らを会わせられねぇだろ……、」



俺のこぼした音を丁寧に拾っていられるほど、ここにいる全員は冷静ではない。


誰もが浮かべる不安と焦り。

甦る過去、救えなかった仲間、そんなものと重なる光景だった。



「すぐ救急車を呼ぶ。警察が来てからじゃ遅い」


「でも綾都くん、この毒を治せるような病院なんか…、」



ひとつ、あるんだ。
むしろそこしかない。

このあたりにひとつだけ、かなりの腕を持った名医が揃う有名な医療センターが。



「久遠総合医療センター、」


「…久遠総合医療センターって……、そんなところが俺たちなんかを受け入れてくれるの…?」


「受け入れさせる。俺にしかできない」



遅かれ早かれ俺のすべてがこいつらにバレるのは確実。

もう警察沙汰にもなってるし、父親にも母親にも落胆されること決定だ。