Rain shadow─偽りのレヴェル─

綾都side




「兄貴、悪い。あまり大事にせず片付けてほしい」



少し離れた場所でスマートフォンを耳に当てているのは霊池。

よくお世話になってしまっているから、電話の先で『ふざけんなまたかよ』なんてため息が聞こえたような気がする。


110番通報をして身内が出てくれるほど、ありがたいものはない。



「仁くん、カオルさんはなんて?」


「“俺が駆けつけるまで1ミリも動くなよクソガキども”、だと」


「…かなりキレてるね」



霊池の兄貴は、この街の警察署本部に勤務する警察官。


カオルさんはかつてGhostの総長でもあることから、俺たちがやりすぎた喧嘩の後始末には慣れたもの。

また今回も無口な弟と違ってグチグチ言われるんだろうけど。


そんなの気にしていられない。


再び鬼木を眠らせて今度こそ身動きの取れないように拘束した俺は、瀧が抱きしめては離さない存在の元へと駆け寄る。



「いやだ…っ、死んだらいやだ、深雨さん、いやだ、」


「…もう……呼びかけてもびくともせえへんねん…、」



瀧と赤矢に囲まれて、そっと目を閉じている深雨の頬には涙の跡。