ゆっくりと上がった表情は、抱えていた後悔と未練が少しずつ消えていく色をしていた。
それはずっと泣いていた男の子が、やっと初めて笑顔を見せてくれたような。
「───…っ、おれは、守れなかったっ、
姉さんを守るって約束も、爽雨さんの味方でいるって約束も…、
深雨さんを泣かせないって約束も……っ、ぜんぶっ、なにも、守れなかった…っ、」
わたしの姿を大好きなふたりに重ねたんだろう。
これが彼の抱えていた気持ち。
ごめんなさい、ごめんなさいと、何度も何度も繰り返して謝って、ぜんぶをさらけ出してくる。
「姉さん、おねえちゃん…っ、ごめん、つよくなるって、一緒に強くなってお姉ちゃんを守るって約束したのに…っ、
まもれなかった、守れなかった……っ、」
あなたは強い子、つよくてやさしい子。
きっと翠加さんだって、そんな弟を持って誇りに思っていたはずだ。
彼女だったらきっと、こんなふうに抱きしめていたんだろうって。
わたしは包み込むように背中に回した。
「“…瀧、お姉ちゃんを守るためにViperの総長にまでなっちゃったね”」
わからない、わからないけど。
すうっと入ってくる。
この子に伝えなければいけない翠加さんの思いが、入ってくる。



