それでもいつもわたしの言うことはぜったい聞いてくれた彼だから、大丈夫だろうって安心もやっぱりあるんだよ本当は。
「…来ないでください、」
殺気のなかにある、迷い。
迷いのなかにある、後悔。
「…来るなと、言ってるんです、」
これしか道がない───、
瀧から伝わってくる思いがあった。
「っ、退け……っ!!」
これだってあなたがわたしにしてくれたことだ。
わたしはたぶん、瀧がいなかったら朱雀でここまで強く生きることはできていなかった。
いつもいつも傍にいてくれた。
どんなときだって隣にいて、どんなときだって味方でいてくれて、わたしを信じてくれて。
「……!!」
誰かがわたしにもしてくれたように、刃の先が腹部に触れるまで近寄る。
「もういいんだよ瀧。もう、十分だよ、」
カタッと揺れたナイフ。
震えた瞳と引いてしまった動きだって、それはすべて瀧の消せない部分だ。
「だからもう、泣かないで」
「…泣いてなんか、ない、」
「泣いてる。あなたはいつも…泣いてるんだよ」
いまも泣いてる。
ずっとずっと泣いてる。
翠加さんに謝ってお兄ちゃんに謝って、わたしに謝って。
「…もういい加減、自分を許してあげてよ瀧、」



