Rain shadow─偽りのレヴェル─





ギリギリで避けたことで、なんとかそれだけで済んだ。


だからといって安心なわけがない。


いち早く反応したのは赤矢で、彼も彼で今までの言葉を思い出すと色んなことが見えている男だったから。

霊池先輩も目を見張るように見つめていて、佐狐は初めて見せる悲しさの含む顔をしていて。


わたしは、一歩も動けなかった。


反応することさえ、できなかった。



「……たき……、なにを、してるんだ、」



どうしてあなたがナイフなんて持って、彼に向けているの。

どうして今も血が付着したナイフを離そうとしないの。

次のタイミングを見計らって、次こそは確実に仕留めると、そんな顔をしているの。


瀧、たき、あなたは何を抱えているの……?



「おれは、この機会をずっと待ってた。
今日という日を…ずっと待ってたんだ」


「瀧、…僕たちは……仲間だろ、」


「…おれが仲間だと思ってるのは、爽雨さんだけです」



瀧は殺気を込めながらも、また違った目をしてわたしを見つめた。



「ごめんなさい深雨さん。…果たし状はおれが裏で工作して佐狐先輩に頼んだものです」