生徒手帳……。
そうだ、佐狐の雑誌から落ちたんだ。
「あぁ違った、───久遠 綾羽くん」
「……なんで、」
「なんで?鬼木の標的でもあるあんたが居なければ、こんなことになってなかったからじゃない?
翠加も死ななかったし、爽雨くんが自殺することもなかった」
それはさっきにも聞いたセリフだ。
でももう誰のせいとか、そんなの考えたってキリがないよ佐狐。
「…お前もずっと俺を恨んでたのか、遼成」
「……ふっ、」
と、渇いた笑い声を出したかと思えば。
向けていたナイフを地面に落として、自ら倉庫の端へ寄せるように蹴った佐狐 遼成。
なにをやっているのか全然わからない。
この一部始終ぜんぶが理解不能で、不気味だ。
「殺せない、むり。俺には無理だよ」
「…佐狐…?」
「言ったでしょ、俺は引きつけ役なだけだって。ただのカムフラージュ、…俺はレヴェルじゃない」
わたしを見つめて、彼は言った。
覚えているよ。
わたしはちゃんと覚えてる。
ひとりひとりと話した会話の内容、そのときの表情、ぜんぶを覚えているから。
「ごめん、俺にはできそうにない」



