鬼木が手にしていた、刃に麻痺剤が塗られているナイフ。
床に転がるそれを見つけた佐狐は、すべてが終わった解放感からか呑気に放った。
「…もっと扱いやすいのにしないから駄目なんだよ」
ぼそっと低い声。
この状況ということもあって誰もが安心しきっていて、意味深なつぶやきをスルーしてしまって。
そしてようやく気づく。
ひとつの異変に、気づく。
「……おいリョウセー、なにしてんねん。つまらんことしてんなや」
その笑顔の先がまったくと言っていいくらいに読めない。
貼り付けた狐は、また新しいナイフを取り出してRain shadowの最高司令塔である男へと向けているのだ。
なにをしているの、佐狐。
もう終わったんだよ、終わったの。
「おいっ、おもろない言うてるやろ!!また反乱起こす気なんか?」
「ちょっと黙ってよ赤矢」
「ならそんなもん下ろせや!!」
刃を向けられている久遠くんは、目を見開きながらも落ち着いていた。
慣れさせてしまったのだろうか。
こんなものも2回目だと。



