「ん……っ、」
すると、今まででいちばん優しいキスが落ちてきた。
絡ませるように繋がれた手からも感じる熱。
「…なんで泣いてんの、」
「っ、……こんなことっ、するから…っ、」
「ちがう。…お前はほんとは俺を殺したくなんかねぇんだろ」
「……っ、」
認めてしまうように、ぶわわっと目尻いっぱいに溜まった。
あなたがわたしの涙に触れるたびに、この世にはこんなにも優しいものがあるんだ…なんて思うのはどうしてなんだろう。
「…俺は爽雨を殺してない」
「でも…っ、日記にっ、」
「鬼木に何か言われて俺のことを恨んだのは確かだろうけど、……翠加は爽雨のことが好きだったんだよ」
どういう…こと…?
だって、最後まで彼女は綾羽の名前を呼んでいたって。
「あいつはいつも勘違いが多いんだよ。俺はあいつが思ってたほど器用でもなんでもねぇし、
逆に爽雨のほうが俺に持ってないものをたくさん持ってる」
雨の音は、遠く遠くなった。
まだある秘密を早く知りたいのに、彼はそれを伝えるのはわたしではないと思っているのだろうか。
そこまで深くは知らされなかった。
まだもうひとりいる、と。
そしてその男こそ、本当のレヴェル─反逆者─だと。



