溢れた涙が邪魔だ。
こんなときにも邪魔をしてくる雨が、大嫌い。
彼はわたしの頬を撫でて「…ほんと似てる。俺の親友に」と、消えそうな声で落とした。
「悪いけど俺はまだ死ぬわけにはいかない。…お前らのために、死ねないんだよ」
「…お前らの…ため…?」
あぁ、と。
それだけ言ってまた近づいてくる。
わたしが殺せもしないことを分かっているから、彼はわざと近寄ってくる。
「や、やだ……っ、」
ナイフの先がつんっと、久遠くんの腹部に当たってしまった恐怖に耐えられなかった。
やだって、なにを言ってるのわたしは。
お兄ちゃんの声を思い出して、日記を思い出して、そうすればできる。
そう思って思って、ぽろっと涙が伝ってしまった。
「……なんだよその顔。誘ってんの?」
簡単に奪われた唇、落ちたナイフ。
「んん…っ!、っ…、」
角度を変えて何度も何度も繰り返される。
わたしが今どんな感情で受け入れているのかすら、考えられない。
「…こんな軽いキスじゃ俺は殺せねぇって」
「くおん…く…ん…っ、んん…っ、ふっ」



