ふわっと触れた唇。
ついびっくりした反動で引こうとすれば、簡単に押さえられてしまう。
「んっ、は…っ、」
「…舌、出せますか、」
「なっ、なに言って…っ、んん…っ!」
だめだ、抵抗できない…。
頭のなかではしようしようと思っているのに、これから自分がやろうとしていることを思うと不安や焦りが邪魔をして。
「っ、たき…っ!いいかげん怒るぞ…っ、」
「どうぞ、」
ど、どうぞって…!!
怒れるわけないよ…。
一瞬でもわたしの不安を溶かしてくれてしまうものを落としてくれるんだから。
「お、お兄ちゃんのこと好きだったかもしれないけどっ、わたしはお兄ちゃんではないから…!」
「……なんかちょっと違います」
「…え?」
「…たぶん勘違いしてますそれ」
ゆーっくり首を傾けた。
そんなわたしを愛しげに見つめて、ふっと珍しい顔。
「今はそれでもいいです。けどいずれ、おれを選んでもらいますから」
「……?」
お兄ちゃん、瀧の扱い方はだいぶ分かってきていたつもりだったけど…。
どうしよう全然わからない……。
「本当はいつも心配してました、」
「心配…?」
「はい。たったひとりでこんなところに来て、…襲われでもしたらどうするんですか」



