Rain shadow─偽りのレヴェル─





思い出してはぶんぶん首を横に振って、それと同時に思い出すと同じくらい悲しくもなって。



「…やっぱりこれくらいは」



ゆっくり離されると、今度はちがう場所に寄せられた顔。



「ひゃ…っ、」



完全に油断していた。

強ばらせた身体をからかうように、ちゅっと頬にひとつ。



「た、瀧…!お前はこんなことしないだろっ」


「しますよ、おれだって男なんですから」


「ええっ、それって誰とでもするってこと…?」



それはそれでダメだよ瀧…!


そんな子に育てたは覚えはないっていうか、別に育ててもないんだけど、あなただけはそのままでいてほしいのに…。

波打ち際で海水パシャパシャしたり、自ら頭を撫でさせてきたり、あの母性がくすぐられるような。



「誰とでもなんかしたくもないです。おれは…深雨さんとしかしないです、」


「……」



どこでそんなセリフ覚えたの…?
それともやっぱりからかってるの…?

わたしの反応ってそんなに面白かったりするの…?



「……言わせるってことは、おれを試してるんですか」


「えっ───、っ!」



困惑だ、こんなの困惑でしかない…。

瀧のキスは予測不能で、わたしもわたしで彼にはいつも気を緩めているところがあるから。



「んっ…!」