Rain shadow─偽りのレヴェル─





言わなきゃ、そう言わなきゃと振り向いたわたしの前には───



「…やっぱここか、」


「……久遠…くん、」



どうしてあなたがいるの。

どうしてあなたなの、ここにいるのは、あなたなの。



「瀧は?もう来た?」


「…まだ、だけど、」



どうしたの?と、見つめる。

見つめれてなんかいないのに、わたしは見つめたふりをした。


奥の廊下を見ていよう。
この人なんか目に映さずに。

大丈夫、だいじょうぶ、ちゃんと今日も持ってきているから。



「…瀧のとこには行くな、行かなくていい」


「…どう、して…、」


「俺が嫌だから。それに、遼成からこんなのが送られてきたんだけど」



取り出されたスマートフォンの画面には、少し前に瀧が教室でわたしを抱きしめてきたもの。

写真ではなく動画にしているあたりが佐狐だ。


でもそんなの今はどうだっていい。


どうして、どうして、どうしてなの。

ねぇ、教えてよ。
わからないことばかりなの。


なにも考えられないの、もう、なんにもだよ。



どうして、あなたが久遠 綾羽なの───。



「深雨…?」


「っ、」