『次に綾都くんはね、たぶんいちばん秘密いっぱい』
『あの人が自分の話を誰かにしてるとこ、見たことないもん俺』
Rain shadowを潰すいちばん手っ取り早い方法として効率的なのは、最高司令塔である男の秘密を暴くこと。
だからこうして彼の生徒手帳を奪ったのではないか。
『あー、久遠 綾羽か。知ってるよ俺』
『でも、死んだ』
『ちなみにそいつは俺の兄貴』
知りたかった。
ずっと、ずっと、本当は彼のことを知りたかった。
わかるの、久遠くん。
あなたのその目は、嘘をついている目だったから。
「……、」
息を飲む、ごくりと飲み込む。
そっと、そっと、風に動かされるように、小さな手帳の表紙を捲ってみる。
たった1ページ捲れば、そこに顔写真と名前があるはずだから。
それだけでわたしはホッとできる。
そこにはね、そこには、
“久遠 綾都”という名前と、わたしがよく知る絵画のような写真が載っていればいいだけだ。
─────ガラッ。
「っ……!!」
全身がおぞましいくらい、ぞっと逆立った。
瀧、ごめん。
今日はちょっと体調が優れないみたいで話はまた今度でいい?



