Rain shadow─偽りのレヴェル─





コツンと肩が触れそうで触れなくて、結局は触れた。

この近い距離感が逆にかわいいと思って許せてしまうのも、瀧という人間にしかない特色だと思う。



「塩、ちゃんと利いてた…?」


「……はい、」


「あ、ぜったい気つかった」


「…ふっ、つかってません」


「もーー、たかが後輩のくせに。気なんかつかわなくていいんだよ瀧」



本当に分かってる?と、確認したくなるぐらいの嬉しそうな「ごめんなさい」が返ってきた。


冗談めかしに言ったつもりだったのに、あれから私は本当に瀧に毎日おにぎりを作っていて。

顔を合わせた朝に手渡して、2日に1回はツナマヨだとしても文句すら言われない。



「やっぱ瀧のぶんもお母さんに頼もうかな…、」


「いえ、おれは…爽雨さんが作ったのがいいです」


「あ、そう…?」


「はい」



考えない考えない。

純粋な気持ちで言ってくれてるに決まってる。


瀧はいつもコンビニだったから、お弁当を作ってもらうことは無いんだろう。

いまは虐待は受けていないと言っていたけれど……彼は家でどんな毎日を送っているのか心配だったりもする。