『綾都は俺のぜんぶを上回ってる。第一、おまえがいなかったらRain shadowだって作れてなかった。
それがちょっと今でも悔しいよ、ほんとは』
俺が誘ったんじゃなかった。
『この学校を俺と占めないか』なんて、格好つけて言ってきたのは爽雨だ。
『俺は本当は武力より頭脳派だ。だから喧嘩だってあまりしたくない。
だけど、ここはそれが通用しなかった』
話し合いで解決、なんて気持ちがたまに出てくる爽雨は、この学校の連中らにとって笑い者でしかなくて。
それを本人はもちろん気づいてるんだろう。
だから最終的に自然と完成された形は、俺が最高司令塔で爽雨が参謀。
それが現実だった。
『たぶんお前みたいに器用じゃないんだよ俺』
俺だって同じだよ。
俺だって、おまえが思ってるほど器用じゃない。
常にいっぱいいっぱいだ。
だから冷静な判断ができる爽雨がたまに羨ましいときだってある。
『…でも、翠加はちがった。あいつだけは今の俺を認めてくれるんだ』
『…結局そこに持ってくんの』
『もちろん。だから綾都にも“綾羽”にも譲らない、これだけは俺は負けたくない』
そのときの爽雨らしくない悪戯な笑顔は、それからずっと俺の脳に焼き付いていた───。



