「はなせ…、離せよ……ッ!!あいつが姉さんを……っ!!」
「わかってるって…!!……俺たちだって同じ気持ちに決まってんでしょ、」
「っ……、くそ…、クソ……ッ」
「そうだ、抑えろ。あんな挑発に乗ったら鬼木の思うツボだ。…今は抑えてくれ」
やがて脱力するように、ふたりの腕にしがみついた瀧。
「赤矢、まだ覚醒はすんなよ」
「…わかっとる」
赤矢はすでに戦闘体勢に入りながら久遠くんの隣に立った。
前線に立つのは久遠 綾都と烏間 赤矢。
きっと彼が少しでも合図を出せば、すぐにカラスは動くだろう。
本当ならそこにお兄ちゃん───水本 爽雨もいたはずだ。
「遼成と霊池は瀧を頼む」
「了解」
「わかった」
そのうしろに立つ、佐狐 遼成と霊池 仁、そして蛇島 瀧。
こんなところでまた本物を見れてしまうなんて思っていなかった。
「綾都くん、みんなに連絡はどうする?」
「…しなくていい。今日は必要ない」
「…わかった」
ドクドクドクと脈が早い。
わたしはただ立ちすくむことしかできなくて、息を落ち着いて吸うことだけに体力を使っていた。



