Rain shadow─偽りのレヴェル─





よかった……。

無理してついてきてもらっちゃったかなって心配だったけど、わりと彼も彼なりに楽しんでいるみたいだ。



「爽雨さん、」



すると瀧はマフラーに口元を埋めて、どこか視線を逸らしながら名前を呼んできた。

どうしたの?と、顔を向けてみる。



「あの、…次はおれとふたりだけで───」


「たーき、俺も混ぜてもらっていい?」



遮られた。

まるでそんなものを狙っていたかのように、きれいに遮られてしまった。



「俺もパシャパシャしてぇわ」


「……いいですけど」



なんか、バチバチしてない……?

え、大丈夫なの…?
これ平気なの…?


するとかなりの水しぶきがあがったと思ったら、びしょ濡れの久遠くんがいた。



「……瀧、さすがに今のはわざとだよな?」


「…いえ、」


「そっか、」


「っ…!!」



バシャッ!!と、それはそれはもう遠慮なく同じように顔面に飛ばされた海水。



「わるい、わざとじゃねぇから許して」


「……」



濡れた顔をマフラーで拭った瀧は、ピリピリと空気を凍らせる。

パシャパシャっていうか……バシャバシャだ。