そんなにわかりやすくしょんぼりされると、心苦しいよ。
可哀想だったため、隣に座り、慰めるように背中を擦る。
すると、背中に回していた手を握られて──右の頬に柔らかくて優しい熱が触れた。
「なっ、何して……っ!」
「こないだ、突っついたお返し」
舌を出して笑っている目の前の彼を睨む。
久しぶりに、お得意の技を食らってしまった。
急にキスするなんて……!
あと、ほっぺた突っついてたの、バレてたの⁉
甘い笑顔にドキドキしていると、今度は反対側の頬にキスされた。
「……広川くんは、ふいうちの達人だね」
「えへへ、ありがとう」
ふにゃふにゃした嬉しそうな顔。
ズルいねって意味で言ったんだけどな。
家族想いで、人懐っこくて、頑張り屋さんなところも。
ちょっぴり抜けてて、私をドキドキさせるのが得意なところも。
全部、大好き。
閉め切られた小さな空間で、照れた顔を隠すようにギュッと抱きついた。
END



