【短編】保健室の常連客


「花金は?」

「それもあるよ。だけど、桧村さんがいる時といない時で差がすごくて。途中で気づいたんだよね。ただ昼寝するよりも、好きな人に会えるほうが断然元気出るなぁって」



直球が飛んできて、顔がボンッと熱くなる。


毎週顔を合わせるようになったのは、今年の1月だっけ。

じゃあ、広川くんも1年生の頃から……?



「あー、なんか眠くなってきちゃった。桧村さんも寝ようよ」



すると、掴んでいる手をクイクイと引っ張ってきた。



「えっ、ここで?」

「うん。あと、迎えが来るまで抱き枕になってほしいな」



ちょっと待って。展開が早すぎてついていけないんだけど。

つまり、一緒に仮眠取ろうよってことだよね?


お疲れ気味なのは重々承知ですけれども、抱き枕はさすがに……。



「……ダメ?」

「うん。まだ早いと思う」

「…………そっか」



引っ張っていた手の動きが止まり、残念そうに目が伏せられた。