【短編】保健室の常連客


だからこの想いは、好きというより憧れだと思っていたんだけど……。



「マジで……?」

「うん。マジです」



距離感にドキドキしたり、ギャップにときめいたり。

もしかして自分に気があるのかな?
なんて、身の程知らずな勘違いをしていることに気づいてしまったんだ。



「本当は去年から気になってたの。でも……広川くんはみんなのものだから、私みたいな一匹狼と釣り合わないって思ってた」

「釣り合わない⁉ それは俺のセリフだよ!」



大きく声を上げて、ギュッと両手を掴まれた。



「しっかりしてて勉強できるし、委員会の仕事もいつも頑張ってるし。かっこいいなぁって思ってた」



真っ直ぐな目で見つめられて、トクンと胸が高鳴る。

私、そこまで出来た人間じゃないんだけどな。
でも、嬉しい。



「この際だから言うけど……毎週金曜日に来ているの、桧村さんに会えるからだったんだよ」

「ええっ⁉」



嘘でしょ⁉ 花金を楽しむためじゃなかったの⁉