【短編】保健室の常連客


「あと、未読無視したこともごめん。返事しなきゃとは思ってたんだけど……睡魔に襲われて、なかなかできなかった」



知ってる。家族の代わりにずっと働いていたから、寝不足だったんだよね。



「いや、私だって。挨拶もせず避けちゃったし。それに……家族のこと、教えてくれたのに……」



両者ともに、謝罪を繰り返す。


自責の念が強いのは、彼の家庭の事情を知っているから。
少し考えれば、サボりじゃないことくらい気づけたはず。


毎週金曜日に来る理由も。

単に花金を楽しむためだと思っていたけれど……本当は、日々のお手伝いで疲れていたんじゃないかと思う。

何も知らないくせにあんな言い方されて、すごく傷ついた。
そう怒られたほうが楽なのに、どうして優しくするの……。



「広川くん、今抱えてる気持ち、正直に言っていいよ」

「えっ……いいの?」

「うん。あと、何かしてほしいこととか。私にできる範囲内だけど」