【短編】保健室の常連客


「じゃ、あとはお2人で。先生職員室にいるから、何か用があったら言ってね」

「……はい」



ニコニコ笑顔で手を振って出ていった。

仲直りできるよう察してくれた先生に感謝し、閉まっているカーテンに声をかける。



「広川くん……開けていい?」

「いいよー」



1週間ぶりの会話。

返事をしてくれただけなのに、嬉しくて涙が出そう。


込み上げてきた感情を抑えて、恐る恐るカーテンを開ける。



「あっ、桧村さーん」

「っ……」



すると、柔和で優しい満面の笑顔が、視界に真っ先に入ってきて。

気づいたら、我慢していたはずの涙が流れていた。



「ごめんね。疲れてたのに、私、酷い言い方した……っ」

「ううん、俺のほうこそ。忙しかったのに、ワガママ言っちゃってごめん」



ベッドサイドに置かれたティッシュで、涙を拭ってくれた。

優しさが心に染みて、減るどころかどんどん溢れ出てきて、さらに申し訳ない気持ちになる。