【短編】保健室の常連客


だけど……。



「ありがとう」

「おお……! ツンツン桧村に感謝されちゃった!」

「うるさいなぁ! 今日だけなんだからね!」

「はいはい、ツンデレ恵理ちゃん」

「……馴れ馴れしいなぁ」



今日は、その笑顔に救われたから、お礼を言っておいた。

……仲直り、できますように。







ホームルームが終わり、保健室にやってきた。
ドアの前で深呼吸を繰り返す。

大丈夫。
ここに来る前、武田くんに背中バシッて叩いてもらったから、多分緊張は吹っ飛んだ。


──コンコンコン。



「失礼します」

「はーい。あ、恵理ちゃん!」



意を決してドアを開けると、先生が明るく出迎えてくれた。



「あの、広川くんは……」

「大丈夫! 2時間ぐっすり眠ってもらったから、今すごく元気よ!」



閉まっているカーテンに視線を移す。

先生の声が響くくらい、めちゃくちゃ静かだけど……元気ってことは、もう起きてるんだよね?