【短編】保健室の常連客


先週の来室表には……確か、全部寝不足って。

毎日保健室に来ていたのは、家族のお世話や家事で、あまり寝る時間が取れなかったから……?


ってことは……。



「ええっ! そんなにピンチだったんですか⁉」

「うん。広川くん、おじいさんとおばあさんと一緒に住んでて、昔からよくお手伝いを……」

「……ごめんなさい」



2人の会話を遮るように、ポツリと呟いた。


『ワガママ言わないで』
『お昼寝なら、ベッドじゃなくてもいいでしょ?』
『そんなに横になりたいなら床で寝れば?』


言い放った言葉たちが、脳内で再生される。


今週保健室にいなかったのは、渡り廊下で寝ていたのは……全部、私のせい。
私が追い出してしまったせいだ。



「外で寝ていたのは……私が先週、床で寝ればって言ってしまったからです」



じわじわと涙が込み上げる。 

武田くんが通りかかったから良かったものの……あのまま誰も来なかったら、最悪熱中症になっていたかもしれない。