『今日の夜ご飯はハンバーグにするね。今スーパーにいるから、家に帰るのは10分後くらいかな』


 ちらっと視線を移した先、スマホの画面に浮かんでいるメッセージ。


 同居している以上、報告は欠かせないと思って送ったもの。


 夕食の献立がお気に召さないのかと思っていたけれど、そうじゃないらしい。


 だったら、このメッセージのなにがいけなかったんだろう……?


 恐る恐る大和くんの様子を伺うと、察しの悪い私に呆れたのか深い溜め息を吐かれた。


 そして、地面にくっつきたがっていた荷物たちを奪うように引き取ってくれる。


 鈍感な私にさえも優しい。大和くんはそういう人。


「買い出しは2人で行って、重いものを持つのは俺の役割だろ」

「で、でも、私だってこのくらい持てるし……」

「反論は聞かない」


 元々強気な瞳に有無を言わせない圧が加わり、私は口を閉ざすしかなくなる。


 それでも心の中で思うことは止まらなくて、反抗するように視線を逸らした。


 ……私は大和くんの邪魔をしたくないのに。