自信家幼なじみが隠すもの




 私を囲う力が強くなる。


 首筋に落とされた熱にぴくっと身体が反応すると、大和くんは5秒くらい動きを止めた後に大きな溜め息を吐いた。


 どうしてそうしたのかはわからないけど、それを機に溺れそうなほど濃密だった空気が薄らいでいった気がした。


「危なかった……」

「なにが?」

「秘密。それにしても、こうやって並んで寝るだけでも幸せとか、桃って存在が最強だな」


 リモコンで電気を消した大和くんは、暗闇の中で明るく言葉を放つ。


 なにも見えないけれど、キラキラとした笑顔の大和くんを想像するのは簡単だった。


「一日が桃で始まって桃で終わる。最高に幸せだわ」

「……私もだよ」


 微かな声量で返したそれは私を後ろから抱き締める大和くんに届いているのか、否か。


 残り少ない同居生活。


 きっと毎日が楽しくて、終わるときには寂しくて。


 それでいて結婚するそのときまでが待ち遠しくなるんだろう。


 幸せな日々の中に、また苦しくて辛いことはたくさんあるだろうけど、たぶん大丈夫。



 自信家幼なじみが隠すものは、もうなにもないから。