紅蓮の炎は心を壊す

怒気を含んだ低い声に驚き、紅葉が首を動かすと、そこには先ほど屋敷を出て行ったはずのヒノカグが立っていた。冷たい目で紅葉を見下ろしている。

「外は危険だって言っただろ!!わからないのか!!」

怒鳴りつけられ、紅葉はびくりと体を震わせる。目からは恐怖で涙が溢れ、口は「ごめんなさい」と繰り返していた。

ヒノカグは無言で紅葉を抱き上げ、歩いていく。舞殿の奥ーーー紅葉がヒノカグに案内されていない場所だった。

舞殿の奥には地下へと続く階段があり、それを一歩ずつヒノカグは降りていく。紅葉は怯えて身を捩るも、びくともしない。

薄暗い地下にあったのは、六畳ほどの小さな座敷牢だった。その牢の鍵をヒノカグは開けると、紅葉を畳の上に下ろす。優しい手つきとは裏腹に、ヒノカグの目はまだ怒りに満ちていた。

「俺が帰ってくる日まで、ここで反省していろ!」

「ヒノカグ様!」

座敷牢の扉が乱暴に締められ、鍵がかけられる。紅葉が呼びかけても、ヒノカグは振り向くことなく去って行った。