「ありがとうございます」
紅葉は本を受け取り、読むフリを始めた。使用人が部屋の襖を閉め、足音がだんだんと遠ざかっていく。耳に意識を集中していた紅葉は、足音が完全に聞こえなくなった後、ゆっくりと立ち上がり、そっと襖に手をかける。廊下には誰もおらず、気配すらなかった。
「今のうちに!」
紅葉は音を立てないように気を付けながら廊下を走り、草履すら履かずに庭へと飛び出す。庭を走り、誰にも見つからず巨大な門の前までたどり着いた。息が上がり、脇腹が痛む。だが、ここでのんびりしていては誰かに見つかってしまう。
「ヒノカグ様、さよなら」
外へ出るため紅葉は門に触れた。その刹那、門から炎が勢いよく飛び出し、紅葉は驚いて悲鳴を上げてしまう。
「きゃあッ!」
炎は紅葉の体を取り囲み、縄に変化した。縄は紅葉の手を後ろ手に縛り、体にもキツく巻き付いていく。足にも縄が巻き付いたため、バランスを崩した紅葉は地面に倒れてしまった。
「……紅葉、お前逃げ出そうとしたな?」
紅葉は本を受け取り、読むフリを始めた。使用人が部屋の襖を閉め、足音がだんだんと遠ざかっていく。耳に意識を集中していた紅葉は、足音が完全に聞こえなくなった後、ゆっくりと立ち上がり、そっと襖に手をかける。廊下には誰もおらず、気配すらなかった。
「今のうちに!」
紅葉は音を立てないように気を付けながら廊下を走り、草履すら履かずに庭へと飛び出す。庭を走り、誰にも見つからず巨大な門の前までたどり着いた。息が上がり、脇腹が痛む。だが、ここでのんびりしていては誰かに見つかってしまう。
「ヒノカグ様、さよなら」
外へ出るため紅葉は門に触れた。その刹那、門から炎が勢いよく飛び出し、紅葉は驚いて悲鳴を上げてしまう。
「きゃあッ!」
炎は紅葉の体を取り囲み、縄に変化した。縄は紅葉の手を後ろ手に縛り、体にもキツく巻き付いていく。足にも縄が巻き付いたため、バランスを崩した紅葉は地面に倒れてしまった。
「……紅葉、お前逃げ出そうとしたな?」


