これは脱出のチャンスだと紅葉の胸がドキドキと音を立てる。だが、それを表面には出さずに「気を付けて行ってきてください」と少し寂しそうな声で言った。ヒノカグは寂しそうな目をするも嬉しそうに笑い、紅葉を抱き締める。
「ありがとう。紅葉のおかげで頑張れるよ。新しい着物、買ってあげるね」
「着物、いっぱい買ってもらいましたし充分ですよ」
「俺があげたいの〜」
唇を落とされ、紅葉の体がびくりと跳ねる。一緒に過ごしているうちに、ヒノカグが自分に対して抱いている感情が何となく理解できてしまった。だが、その感情の種類はヒノカグと紅葉では全く違う。
(ヒノカグ様は神様、普通の人間のあたしと結ばれることはない。それに、あたしはヒノカグ様のことそういう意味で好きじゃない。早く離れなきゃ……)
笑顔を作り、部屋の中からヒノカグを見送る。ヒノカグの姿が見えなくなると、使用人の一人が暇潰しにと本を持って来てくれた。文字を覚えたばかりの紅葉でも読める童話集である。
「ありがとう。紅葉のおかげで頑張れるよ。新しい着物、買ってあげるね」
「着物、いっぱい買ってもらいましたし充分ですよ」
「俺があげたいの〜」
唇を落とされ、紅葉の体がびくりと跳ねる。一緒に過ごしているうちに、ヒノカグが自分に対して抱いている感情が何となく理解できてしまった。だが、その感情の種類はヒノカグと紅葉では全く違う。
(ヒノカグ様は神様、普通の人間のあたしと結ばれることはない。それに、あたしはヒノカグ様のことそういう意味で好きじゃない。早く離れなきゃ……)
笑顔を作り、部屋の中からヒノカグを見送る。ヒノカグの姿が見えなくなると、使用人の一人が暇潰しにと本を持って来てくれた。文字を覚えたばかりの紅葉でも読める童話集である。


