(ここに来てから、一度も屋敷の外へ出たことがない……)
庭をヒノカグと散歩することはあるのだが、立派な門の向こう側を紅葉は見たことすらない。外に行きたい、と一度言ったことがあるのだが「危険だから」と却下されてしまった。
(どうしたら村に帰れるの?)
豪華な着物に綺麗な髪飾り、食事も綺麗な布団も何もかもこの屋敷にはある。だが、紅葉は日が経つにつれて、まるで巨大な檻に自分が閉じ込められているような感覚を覚えていくのだ。そして、逃げ出したいと考え始めている。
その考えを見透かされたのか、夜になるとヒノカグは紅葉の部屋に来るようになった。紅葉の隣に布団が敷かれ、決して恋仲ではないのに紅葉は毎晩ヒノカグに抱き締められながら眠りについている。ヒノカグの腕は、まるで拘束具のようで逃げられないのだ。
(村の人たち、心配していないかな……)
毎日、紅葉は村のことを考えていた。そんなある日、ヒノカグが珍しく忙しそうに何やら支度をしている。
「紅葉、ごめんな。神々の緊急の集まりがあって出雲まで行くことになった。三日ほど留守にする」
庭をヒノカグと散歩することはあるのだが、立派な門の向こう側を紅葉は見たことすらない。外に行きたい、と一度言ったことがあるのだが「危険だから」と却下されてしまった。
(どうしたら村に帰れるの?)
豪華な着物に綺麗な髪飾り、食事も綺麗な布団も何もかもこの屋敷にはある。だが、紅葉は日が経つにつれて、まるで巨大な檻に自分が閉じ込められているような感覚を覚えていくのだ。そして、逃げ出したいと考え始めている。
その考えを見透かされたのか、夜になるとヒノカグは紅葉の部屋に来るようになった。紅葉の隣に布団が敷かれ、決して恋仲ではないのに紅葉は毎晩ヒノカグに抱き締められながら眠りについている。ヒノカグの腕は、まるで拘束具のようで逃げられないのだ。
(村の人たち、心配していないかな……)
毎日、紅葉は村のことを考えていた。そんなある日、ヒノカグが珍しく忙しそうに何やら支度をしている。
「紅葉、ごめんな。神々の緊急の集まりがあって出雲まで行くことになった。三日ほど留守にする」


