紅蓮の炎は心を壊す

貧しい紅葉にとって、朝ご飯で出された味噌汁などは、まるで特別なご馳走のように思えた。一口食べるたびに、頬がジンと熱くなる。

「おいしいです、ヒノカグ様……!」

紅葉が頰に触れながら言うと、ヒノカグは「それはよかった」と言いながら笑う。しばらくのんびりと食事をしていた紅葉だったのだが、仕事のことを思い出した。今頃、みんな畑を一生懸命耕しているに違いない。

「あのヒノカグ様、あたし、これを食べたら仕事にーーー」

「そうだ、これをつけるのを忘れていた。これがないと、せっかく綺麗に着飾った意味がねぇ!」

紅葉の言葉を遮り、ヒノカグが立ち上がって近付いてくる。紅葉の前でしゃがんだヒノカグは、手の中に炎を生み出した。その炎はゆっくりと形を変えていき、美しい花の髪飾りとなる。

「わぁ、綺麗……」

それは、まるで魔法のようだった。紅葉が見惚れていると、その髪飾りが髪につけられる。そして、ヒノカグは満足そうに頷いた。

「うん、めちゃくちゃ綺麗だ!」

「ありがとうございます」