紅蓮の炎は心を壊す

毎日適当に結ぶだけの髪は綺麗に纏められ、髪には化粧が施されていく。まるでどこかの姫君になったかのような出来事に、紅葉の胸はドキドキと音を立てる。

「では、ヒノカグ様のところへ参りましょう」

女性たちに案内され、紅葉は恐る恐る廊下へと出る。木造の廊下は迷路のようになっていて、部屋がたくさんあるのがわかった。美しく手入れが施された日本庭園には季節の花が咲いており、どこからか歌うように鳥の鳴き声が聞こえてくる。

「こちらになります」

ある一つの部屋の襖を女性の一人が開ける。そこには座布団が二枚置かれており、その一つにヒノカグは座っていた。目の前には、紅葉が食べたことがほとんどない白いご飯やお味噌、そして山菜のおひたしや焼き魚が並んだお膳が置いてある。

「紅葉、思った通りよく似合っている!紅葉にはやっぱり赤が一番いいな!」

ヒノカグが頬を赤くしながら言い、「朝ご飯を食べるぞ」と言いながら手招きをする。ヒノカグの前に紅葉が座ると、お膳を女性が運んできた。

「ありがとうございます!……いただきます」