もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 グランツは姿勢を正すと、ほんの数刻前に彼女に触れようとした自分の手を見つめた。

「あの人はいつも不安そうで、寂しそうに笑う。やっと最近になって、俺の前でも声をあげて笑うようになったんだ。見知らぬ男を連れて行ったら、きっと怯えさせてしまう」

「つまり自分は特別扱いされていると言いたいわけだ。恋愛用語で牽制と呼ぶやつだな。知っていたか?」

 アルドが再び茶化すも、グランツは真剣な表情を崩さない。

「煤の森で孤独に暮らしている理由も教えてくれた。……過去にひどい目に遭ってきたんだ。これからは彼女を傷つけるすべてのものから、守ってやりたい」