もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「どうだか。うっかり押し倒すなよ」

「アルド」

 グランツが呆れたように咎め、額に手を当てて息を吐く。

 人前では人格者の王子を演じるくせに、誰もいない時はいつもこうだ。王子というよりは、街の悪童のほうがよっぽどアルドに似合っている。

「お前がいつも絶賛するせいで、俺も魔女に興味が湧いてきたじゃないか。口説いたら妃になってくれるか、試してみたくなる」

「断られるぞ。俺がそうだった」

「お前は口説き方がなってないんだ。出会っていきなり求婚なんて、今どき誰がやる?」

 その話を聞いた時のことを思い出したのか、アルドが肩を震わせて笑い出す。