もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 シエルはグランツのまっすぐな物言いに息を詰まらせた。

 彼は基本的に優しい紳士だが、ときどき獣じみた本能をちらつかせる時がある。荒々しく激しいのに、なぜかシエルはそんなグランツの欲を甘いものに感じていた。

 そして彼女は、グランツの熱っぽい眼差しに見つめられると断れないのだ。

「……少しだけですよ」

 グランツは控えめに言ったシエルにキスをひとつ贈ってから、喉の奥でくっと笑った。

「相変わらず君はおねだりに弱いな」

 グランツの手がシエルの背中に回り、首の後ろにあるドレスのボタンを外してしまう。彼の長い指がひとつずつボタンを外すたびに、シエルの身体を包むドレスが緩んでいった。

 いくつもの口づけが首筋に、そして鎖骨に触れて痕を残していく。

 声を震わせたシエルは、小さな身体でグランツの大きすぎる愛情を懸命に受け止めた。

 二人の夕食の時間がいつもより大幅に遅れたのは言うまでもない。