もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 彼らには数か月前まで、今日と同じように笑い合い、冗談を言っていた相手がもっと大勢いたのだ。しかし失われた命は帰ってこない。

「あんな連中だが、よかったらまた顔を見せてやってくれ。どうも奴らは君を見るとやる気が出るようだから」

「どうしてでしょう? お菓子のおかげでしょうか」

「君がかわいいからだ」

 グランツがシエルに顔を寄せ、そっと唇をついばんだ。

 シエルは頬を赤らめて目を伏せる。

 もうグランツとは何度も唇を重ね、それ以上に恥ずかしいことをしたのにまだ慣れない。

「グランツ様……」

「次は俺を甘やかしてくれないか。君を独り占めしたくなった」