「なにが『俺の』だ! ちゃっかり自分のものだって主張しないでくださいよ!」

「どうせ自慢したくて紹介したくせに!」

「自分で婚約者って言って、にやけるのはやめてもらえません!?」

 男たちの野太い声が『ずるい』と合唱する。

「恋愛なんて興味ないって顔してたじゃないですか! 俺たち仲間じゃなかったんですか!?」

 ズレにズレた悲痛な叫びを聞いて、グランツは微かに勝者特有の憐憫を顔に浮かべる。

「お前にもいずれいい人が現れるといいな」

「あんたなんか嫌いだあああっ!」

 王都キルヒェから離れた西に駐屯しなければならない彼らは、女性と出会う機会が極端に少ない。